サックス侍のマーケティング

サックスを手にしたサックス侍サックス侍のマーケティング / 元マーケッターの事業設計「自分」を商品として、
マーケティングする。
サックス侍は、ただのミュージシャンではありません。会社員時代に20年近くマーケティングに携わってきた人間が、自分自身を商品として設計したひとつのビジネスモデルです。このページでは、その設計図をそのままご紹介します。
SERIESサックス侍を知る 全8章0102030405060708CHAPTER 06第6章 サックス侍のマーケティング
約20マーケティングの実務経験40SNS総フォロワー200〜2,0001公演あたりの集客の目安
▶ 集客の様子を動画で見る
24.8%県外からのご来場86.7%サックス侍が来場の目的5人目史上5人目の名古屋観光特使1億2,400万回SNS動画の総再生数(6媒体の合計)

はじめにINTRODUCTION

編み笠をかぶり、街角でサックスを吹いている。そう聞くと、ただのストリートミュージシャンに見えるかもしれません。

けれども実際は、少し違います。サックス侍は「自分を商品としてマーケティングした結果、生まれた事業」です。会社員時代の私の仕事は、企業や商品を世に知ってもらうこと。集客の設計、導線の設計、発信の戦略を、20年近く仕事にしてきました。

その考え方を、そのまま自分自身に使いました。順番にすると、たった4つの工程です。

1自分を分析する2価値を設計する3世界観を商品にする4人を集める事業へ
自分をマーケティング=個人ブランド化=サックス侍という事業
サックス侍は、音楽活動ではなく“設計されたビジネスモデル”です。演奏が好きだから続けている。それは本当です。ただ、それだけでは人は集まりませんでした。集まっていただくために何をどう設計したのか。ここから順にご説明します。

事業になるまでの流れHOW IT GREW

マーケティングの経験と、趣味として続けてきたサックス。この二つが重なったところで、収益化と独立が起きました。

1STAGE 01 / 学生時代サックスを始めるアルバイト代で、初めてのサックスを買いました。純粋な趣味としてのスタートで、仕事にするつもりはまったくありませんでした。2STAGE 02 / 社会人本業と趣味を並行するマーケティングの仕事をしながら、サックスを続けます。この時期に身につけた力が、のちに効いてきます。3STAGE 03 / 副業化サックスが収益を生み始める演奏が副収入になりました。趣味と仕事の境目が、少しずつ曖昧になっていきます。4STAGE 04 / 逆転サックスの収益が、本業を超える個人ブランドとして成立した瞬間です。ここが、事業としての分かれ目でした。5STAGE 05 / 独立・法人化会社を辞めて独立する法人化し、本格的に事業として展開しています。
好きなことに、仕事で培った強みを掛け合わせる。サックスだけでは、ここまで来られませんでした。マーケティングだけでも、同じです。二つが重なったからこそ、新しい事業が生まれました。

戦略1 / 市場と自分を見極めるSTRATEGY 01 / 3C ANALYSIS

事業の設計に使ったのは、3C分析という、マーケティングの基本的な考え方です。Company(自分)、Customer(顧客)、Competitor(競合)の3つの視点から、市場と戦略を考えます。

ストリートサックスプレイヤーとして活動を始めるにあたり、まず「誰に届けるか」「何と比べられるか」を整理しました。

COMPANY自分現状分析演奏はできる。ただし超絶技巧や難曲が強みではない。一方で、音色や空気づくりには自信がある。見えた課題技術の勝負では、差別化が難しい。戦略仮説技術ではなく、世界観・感情・音色で勝負する。CUSTOMER顧客現状分析JAZZ愛好家の耳は肥えているが、市場としては一般の方のほうが圧倒的に大きい。一般の方はサックスの音色そのものが好き。見えた課題専門性の高い演奏は、一般の方には伝わりにくい。戦略仮説一般の方が偶然立ち止まれる音楽体験をつくる。COMPETITOR競合現状分析サックス奏者はステージやジャズが中心。ポップス中心の奏者は少なく、名古屋の路上にはほとんどいない。路上はギターが主流。見えた課題逆に言えば、空白地帯が存在している。戦略仮説「ストリート × サックス × ポップス」を取る。
強みが活きる市場を選ぶことが、差別化の第一歩。競争の激しい市場に正面から入るのではなく、自分の強みがそのまま価値になる場所を探しました。勝てる場所を選ぶことも、立派な戦略です。

戦略2 / 演奏以外の要因を分析するSTRATEGY 02 / SECOND ANALYSIS

実際に路上に立ってみると、仮説とは違うことが起きました。足を止めてくださるかどうかは、演奏以外の要因に強く影響されていたのです。そこでもう一度、3C分析をやり直しました。

CUSTOMER顧客観察結果通行人は音だけでなく、第一印象で足を止めている。路上では「上手い」より「気になる」が先に起きる。見えた課題人はまず視覚で判断し、そのあとで音へ入る。戦略仮説見た目のインパクトを設計する。COMPETITOR競合観察結果目立つ演奏者は、音そのものより見た目や世界観を武器にしていた。「誰が演奏しているか」が見られていた。見えた課題外見の競争では、強い人が多い。戦略仮説競合とも差別化したインパクトを持つ。COMPANY自分観察結果演奏の音色には強みがある。一方で、若さや華やかさで勝負するタイプではない。見えた課題顔や見た目の勝負では、どうしても不利。戦略仮説顔ではないビジュアル戦略を考える。
技術でも、見た目でもない。
“顔を隠す × 強い世界観 × 気になる存在”
で差別化する。
この答えとして、サックス侍が生まれました

つまりサックス侍という姿は、思いつきではありません。分析の結果として導き出された答えでした。

演奏だけではなく、印象の設計こそがブランドを生む。同じ演奏でも、誰が、どんな姿で吹いているかで、伝わり方はまったく変わります。ここを設計するかどうかが、大きな分かれ目になりました。

戦略3 / 新しい価値は、掛け合わせで生まれるSTRATEGY 03 / COMBINATION

新しいものを、ゼロから生み出す必要はありません。既存の価値を、誰もやっていない形で組み合わせる。それだけで、新しいカテゴリーが生まれます。

サックス×=サックス侍

サックスが持っているのは、音楽・癒し・現代・洗練・都会的といった価値。侍が持っているのは、日本文化・強さ・伝統・物語性・非日常といった価値。まったく違う二つを掛け合わせた結果、生まれた価値が三つあります。

01一瞬で覚えられる演奏家ではなく「体験」になる。一度見たら忘れられないインパクトが生まれました。02物語が生まれる「何だろう?」という興味が湧く。人を惹きつけるストーリー性が備わりました。03言葉なしで伝わる日本らしさ × 現代性。言葉が通じなくても伝わる世界観になりました。
Innovation = Combinationイノベーションとは、組み合わせのこと。
既存の価値でも、掛け合わせ次第で、世界に存在しない新しいブランドは作れます。

戦略4 / 「見た目」を設計するSTRATEGY 04 / FIRST IMPRESSION

情報が多すぎる現代は、良いものが選ばれる時代ではなく、まず“気づかれるもの”が選ばれる時代です。SNSでも、リアルでも、人は最初に中身ではなく見た目で判断しています。

0.8秒人が「興味あり・なし」を判断するまでの時間だと言われています。
この0.8秒を通過できなければ、中身を知ってもらう機会そのものがありません。

これは、あらゆるものに共通する構造です。SNS投稿ならサムネイルと冒頭。ストリートライブなら衣装と存在感。チラシならデザインと見出し。店舗なら外観と入口。商品ならパッケージ。すべて「入口の設計」という同じ話です。

1視覚で認識される2「気になる」と足が止まる3音や体験に触れる4記憶に残り、ファンになる

サックス侍の場合、「侍」という世界観そのものが視線を引きつける役割を担っています。気になって立ち止まっていただき、そのあとで音と体験を届ける。この順番を守るための設計です。

※ これはルッキズム(外見至上主義)を肯定する話ではありません。中身がおいしいことは大前提です。そのうえで、中身を知っていただくための“外側の設計”も同じくらい大切だ、という話です。

中身を届けるには、まず“見た目”で入口をつくる。「見た目がすべて」ではありません。けれども、見てもらえなければ中身は存在しないのと同じです。まず関心を持っていただき、その後に本質で期待を超える。この順番を大切にしています。

戦略5 / 名前を設計するSTRATEGY 05 / NAMING

名前は「かっこよさ」より、見つけられやすく、覚えられやすく、広まりやすいかが重要です。ブランドや活動の伸び方は、名前の段階で大きく変わります。良い名前には、三つの条件があると考えています。

01唯一無二である
(検索性)
他のサービスや名前と被らない。検索しても埋もれない。SNSでも見つけやすい。「サックス侍」で検索すれば、一発でたどり着けます。
02スマホで変換しやすい
(拡散性)
入力しやすく、誤字が起きにくい。ハッシュタグが広がりやすく、紹介されやすい。カタカナ+漢字で一発変換できます。
03名前だけで内容が伝わる
(理解性)
説明がなくてもイメージできる。何をする人かが伝わり、記憶に残る。名前だけでキャラクターが想像できます。

実際に、名前の設計だけで起きた変化があります。メディアが企画しやすい。SNSで文章だけでも拡散されやすい。視覚にも伝わりやすい。一度聞くと覚えられやすい。広告費をかけずに、名前そのものが働き続けてくれます。

良い名前は、広告費ゼロで働き続ける営業マン。名前は「かっこいいか」ではなく、「広がる設計になっているか」で決める。これが、私の考える良いネーミングです。

戦略6 / SNSは「存在証明」STRATEGY 06 / SNS

SNSは、作品を発表する場ではありません。「存在を証明する場」だと考えています。現代は、WEB上に存在しなければ、存在しないのと同じ。発信を続けた人だけが、選択肢に入ります。

01主要SNSすべてで発信する

どのSNSで伸びるかは、事前には予測できません。当たる場所は、市場が決めます。だからサックス侍は、X・Instagram・TikTok・YouTube・Facebook・Threadsのすべてで発信しています。

02作り込みすぎるより、毎日投稿する

100点を月に1回より、70点を毎日出す。発信量そのものが、学習量になります。完璧を目指して止まってしまうことが、いちばんの損失です。

03継続し、分析し、改善する

感覚ではなく、データを見ます。何が伸びたか。誰が反応したか。なぜ保存されたか。ここを毎回確かめて、次に反映します。

04質と量を回しながら最適化する

量だけでもダメ、質だけでもダメ。出し続けながら、質を上げていく。この両輪を回すことでしか、届く発信にはなりません。

SNSは、価値を届け、存在を認識してもらうための仕組み。現在、SNSの総フォロワーは40万人を超え、投稿してきた動画は累計で1億2,400万回再生されています。この数字は、その人の影響力や実力の指標としても見ていただけるようになっています。

戦略7 / AI時代の情報資産を育てるSTRATEGY 07 / AI ERA

これからは、検索からAIへと、情報の入口が変わっていきます。だからこそ、AIに見つけてもらいやすい形で情報を残すことが重要になります。SNS・ホームページ・記事・プロフィールを、ひとつの「情報資産」として育てていく考え方です。

1発信する2情報をためる3AIに見つけてもらう4紹介・引用される5認知が広がる

単発の投稿ではなく、積み重ねた情報が効いてきます。実務としては、次の五つを続けています。

01AI時代に有効な、五つの実務
自社ホームページに情報を集める/実績・活動レポート・出演情報・プロフィールをまとめるプロフィールをそろえる/活動名・経歴・説明文を、各媒体で統一する発信内容を残す/SNS投稿や記事を、後から見返せる形で残すよくある質問と実績をまとめる/問い合わせの多い内容や、数字の実績を整理する第三者の紹介を増やす/メディア掲載やイベントページで、信頼性を高める
SNSで関心を生み、ホームページで蓄積し、第三者情報で信頼を補強する。難しい専門対策より、分かりやすく整理された情報のほうが大切です。AI時代でも、基本は「見つけやすく・分かりやすく・信頼できる」こと。このホームページ自体が、その実践のひとつです。

数字で見る、マーケティングの結果RESULTS

設計したものが、実際にどう働いているか。ライブにお越しくださった方へのアンケートから、はっきりと見えてきました。

名古屋市内45.5%愛知県内(名古屋市外)28.9%県外24.8%海外0.8%※ 構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

24.8%が県外からのご来場です。さらに、ご来場の86.7%の方が「サックス侍が主な目的」とお答えくださいました。たまたま通りかかったのではなく、目的を持って足を運んでくださっているということです。

1回のライブには、数百人から千人規模の方が集まってくださいます。これは、地元だけに閉じない広域からの誘客が生まれているということであり、観光や地域活性化にそのまま活かせる力です。

夜の街角に立つサックス侍

設計したことが、実際に人の動きになって返ってきます

マーケティングを、地域のためにFOR THE REGION

事業が軌道に乗り始めたころ、私は次の課題を考えていました。個人ブランドには、放っておくと必ず訪れる三つのリスクがあるからです。

01うまくいくと、真似される成功すると模倣が生まれます。差別化“だけ”では、いずれ守れなくなります。02人気には賞味期限がある個人の話題性や人気は永続しません。次の価値づくりが必要になります。03マーケティングはAIに代替される本業の収益基盤にも、技術変化による将来的なリスクがあります。

そこで掛け合わせたのが、「観光」という視点でした。ちょうどそのころ、名古屋が「魅力のない街ナンバーワン」に選ばれたという報道を目にしたことも、大きなきっかけです。

観光×サックス侍=持続可能な事業

観光は今後の主要産業になっていく成長分野であり、その場に行き、空気を感じる現場性・体験性があるためAIに置き換えられにくい領域です。そして観光と結びつくことで、一時的な人気ではなく、地域に根ざした息の長い事業になります。演奏・地域・物語・ファンコミュニティまで含めて設計されるため、模倣も簡単ではありません。

こうして生まれたのが「人間観光地」という発想です。人を集める存在から、街の魅力を伝える存在へ。名古屋には魅力的な観光資源が豊富にあるのに、PRが十分ではありませんでした。「つくる」から「活かす」「伝える」へ。限られた資源の中で名古屋の魅力を最大化する発想が、いま必要とされています。

社会課題の解決は、WIN-WINに設計することが大事。ただの慈善事業でもなく、利己的な事業でもない。自分にとっては収益性が生まれ活動が長く続き、社会にとっては地域課題が解決され、資材費をかけずに観光資源が生まれる。「誰かのため」と「自分のため」を両立させてこそ、持続可能な力になります。

観光強化への取り組みを見る

まとめSUMMARY

サックス侍がやってきたことは、特別な才能の話ではありません。自分という資源を分析し、勝てる場所を選び、伝わる形に設計し、発信を続けただけです。

01自分を商品としてマーケティングする自己分析・商品設計・ブランド化。自分という資源から、事業は構想できます。02その力を、社会課題の解決に役立てる観光・地域活性化・シビックプライド。集める力を、地域のために使います。03共創とメディアで加速させる自治体との連携、共創プロジェクト、メディア戦略。仕組みとして社会に広げます。
MESSAGE個人の力を、
社会を動かす力へ。
個人の発信力を育て、社会課題の解決へつなげ、共創とメディアで広げていく。
自分をマーケティングすることは、社会に価値を届ける力になります。
講演のご依頼も承っておりますこのページの内容は、企業や自治体、学校でお話ししている講演のテーマのひとつです。
自己マーケティング、個人ブランド、地域活性化。演奏を交えてお届けすることもできます。
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